ボーッと何かを・・・ 日々の考えの備忘録


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この高い見識と反骨精神に乾杯--犬山市教育委員会

 夕刻,何気なくTVを見ていたら「バンキシャ!」というニュースショーに目がとまった.ある町の小学校の先生の日々の生活が映し出され,それを東京都の先生方が見ながら「うらやましい」とか「素晴らしい」とか褒めそやしているシーンだった.番組で紹介されていた「ある町」というのは犬山市である.番組の途中,その犬山市の教育委員会の委員長(だったと思うけど)が犬山市の教育について語るのを聞き,また同時に犬山市の小学校の先生たちの活動を見て,「なるほど!そうだよなあ〜」と思わず膝をたたいて深く同意してしまった.
 犬山市の彼らの教育は徹底した現場主義である.学校教育の基本は授業であり,子供たちと向き合うことである,という当たり前のことを最優先としていることにある.したがって,これらとは関係のない雑用からは教師の負担を排除し,子供たちに関わる時間や授業の改善に時間を割く.そのために先生たちの相互の協力関係を重視する.そこには,教師同士お互い分断させる教育への「競争原理」の導入はない.
 私が膝をたたいて同意したというのは,このblogでも似たようなことを書いたことがあるからだ.(たとえば書類作りで日が暮れる etc.)むろん,現場をあずかり,日々格闘している彼らの方がずっとしっかりした考え方であることは言うまでもない.

 この番組を見たあと,「どれどれ」と犬山市教育委員会のホームページを見にいって唸ってしまった.例えばこういう文章があった.
ウ「学び」を「生きる力」へ
 自らの生に喜びを感じられない者に他者を大切にする心を育てることは難しい。いま子どもたちは日々生きることに十分な喜びを感じているだろうか。子どもたちの様々な生活場面がそれぞれより充実したものになるよう努力するとともに、子どもたちが「学び」を通じて生の喜びを感じられるようにし、自らの生を切り開く力と展望を獲得できるようにすることは、我々おとなが総掛かりで取り組むべき課題である。
 こういう文章は,「いじめる生徒は出席停止にすればよい」ということを考えている人間には絶対に書けない文章である.さらに,
ア ティームティーチングの導入
 ティームティーチング方式(TT)の授業は、非常勤講師を補助指導員として加え、学級担任或いは教科担任と共に指導する協力指導である。各学校は、教科の特性、児童生徒の実態、学校の実情を十分踏まえた「ティームティーチング年間計画」を作成し、学校経営に位置づけて、教職員の共通理解を図ると共に、少人数指導授業と同様に家庭や地域への啓発に努める。
  1 TTの目的に応じた集団編成(課題別・方法別等)をする。
  2 時間割を工夫して、事前の打合せや準備ができるようにする。
  3 研究課題を設定して、研究的にTTを進め、評価をしていく。
「教育現場に競争原理を持ち込む」という方針とは真っ向から対立しているシステムである.そしてどちらがよい方向か,理想とすべき方向か,私は明らかだと思う.
 「犬山の教育の重要施策2007,学びの学校づくり -犬山の子は犬山で育てる-」という文章でこう謳っている.
犬山市教育委員会は、全国学力・学習状況調査への不参加決定を機に 、 犬山の教育のさらなる深化・発展をめざし 、 ここに示した考えにもとづき学びの学校づくりを推進する。
○犬山では 「 犬山の子は犬山で育てる」という考えのもと、子どもの人格形 成と学力保障をめざし、さまざまな教育改革に取り組んできた。
○犬山市教育委員会は 、 犬山の教育現場の実践をふまえ 、 国が進めようとしている国主導の教育改革に対してさまざまな問題点を指摘してきた 。 とりわけ 、 全国学力・学習状況調査については 、 犬山の教育理念に合わないとの判断に立ち、同調査に「参加しない」ことを決定した。
○この決定を機に 、 犬山の教育のさらなる発展をめざし 「犬山の教育の重要施策2 0 0 7学びの学校づくり 」 を策定した 。 ここに 、 教育の不易をふまえた犬山の教育理念について再確認し 、 この考えにもとづいて学びの学校づくりを推進する 。 学校・教職員に対しては 、 学校の自立を進めることによって教師の自己改革を促し 、 子ども主体の授業づくりをめざすとともに 、 すべての子どもの学びを保障する 。 保護者や地域に対しては 、 学校現場での授業における子どもの具体的な姿を通して 、 犬山の教育についてより深い理解が得られるよう努力を続ける。
 お上の唱える教育に敢然と反旗を翻している.しかも高い見識を持ってだ.いいねぇ〜 この反骨精神,高い理想
犬山市教育委員会に乾杯!
 それにつけて思い出すこと あまたありなん
絵に書いたような愚かさ
「教育の荒廃」の必然性
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by hiroi22 | 2008-03-30 21:13 | じっと思う

過ちを改むるに憚ることなかれ

 何の話かと言えば,サッカー日本代表の話である.バーレーンにアウェイとはいえ0ー1で負けた.それも完敗といってよいものだった.ワールドカップの予選では最終予選以外で日本が負けたのは19年ぶりというから,これはただ事ではない.日本代表にはほとんどチャンスらしいチャンスはなく,格下と見られていたバーレーンは逆に際どいシュートを連発していた.実際のゲームを見ていても,ロングボールを蹴る場面が多く,これが1年前までボールをスピード豊かに回してゴールに迫ったチームであることが信じられないほどだった.
 岡田監督になってもうどれくらいになるのだろう.オシム前監督の病気による突然の就任ということと,当初はチーム作りが始まったばかりということで評価は手控えられたかも知れないが,この期に及んでもまだこんな試合をしているようでは厳しい批判を受けるのは当然だろう.今回の試合は準備期間もあり,ある程度チーム練習もできたはずだ.にもかかわらず,勝ち負け以前の内容が悪すぎる.
 もう一つ不満なのは,いまだにチーム作りの確たる方針が聞こえてこないことだ.伝えられるところでは,次のオマーン戦には中村俊輔ら海外組が招集されるという.しかし,これでは「とにかく実績のある選手で試合を作っていく」ということでしかない.現状はどうで,それを見てどういうチームを作るかのコンセプトなどありはしない.
 4チーム中上位2チームが勝ち上がる第3次予選で日本代表がよもや脱落するとは思えないが,今後のことを考えると岡田監督に見切りをつけて更迭し,早急に新しい監督を選ぶべきだ.過ちを改むるに憚ることなかれ.次期監督はもちろん
オシム前監督の復帰が理想.
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by hiroi22 | 2008-03-29 00:58 | じっと思う

「教育を我らの手に」と言ってみる

 またアホなニュースを見てしまった.
過激?横尾忠則氏のポスター差し替え 美術教科書検定(朝日新聞)
 文部科学省が25日に公表した07年度教科書検定では、日本文教出版が高校用の「美術3(ローマ数字の3)」に収録しようとした横尾忠則さん(71)作製のポスターが「健全な情操の育成に必要な配慮を欠いている」と意見がつき、差し替えられた。文科省は「芸術的価値を否定するのではなく、高校生の教科書として配慮不十分との判断だ」と話すが、横尾さんは「表層的な判断で、芸術が何たるものか勉強していない」と憤る。
 その昔(いつごろなんだろう),展覧会で裸体画を公開する時に,その絵画に下着をつけさせようとしたことがあったという.この笑い話が21世紀の日本で再現されようとは.....
 ポスターは1965年、故・土方巽氏らが主催した「暗黒舞踏派提携記念公演」用に作製された。ルーブル美術館所蔵の「ガブリエル・デストレとその姉妹」などをモチーフとした作品だが、文科省は左上に「私の娘展示即賣會場」の文字があることなどを理由に意見をつけた。
 一体どこのおっさん(おばはんかも知れんが)がその意見やらをつけたのか知らないが,一握りの“専門家”または“検定官”なる人達の有り難〜いご意見の押しつけで教育内容が左右されるのはもうやめようではないか.何を題材に何を教えるのか教育現場の裁量に任せればよい.根拠のない価値観に盲目的に従わせようというのは教育でもなんでもない.
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by hiroi22 | 2008-03-27 00:40 | じっと思う

大阪日記

 橋下知事の話題が出たというわけではないが,大阪のことを書く.今でこそ遠く大阪を離れた地に流刑の身だが,元をただせば僕は大阪人である.正確には大阪府民.大阪市民ではない.「ふるさとは遠きにありて思うもの」と言うが,離れてみれば大阪というところは面白いところだと感心する.そこに住んでいる人達が面白いのだ.出張で大阪にいるが,今日もそんなことを感じさせる風景があった.

 その1:お昼前のことだ.バスを待っていた.バスと言っても,ある団地と最寄りの駅を結ぶミニバスの少し大きいものである.そのバス停には,子供連れの正装をした若い夫婦を含む数人の人がバスを待っていた.ちょうどそのとき,バス停の前のマンションから子供二人とその母親が出てきた.するとバスを待っていた方の若い母親が,その母親に声をかけた.子供同士が知り合いらしい.マンションから出てきた二人の子供というのは,小学校低学年と見える女の子とまだ就学前の男の子で,二人は兄弟のようだ.男の子は大きなタライを抱え,その中一杯に道具が入っている.そばの砂場にそれを置いたので,砂場で遊ぶ道具のようだ.それと,なぜか縄跳びも持っていて,母親同士が話し始めると縄跳びを始めた.どうやら,男の子の砂場遊びに母親とお姉ちゃんがついてきたようだ.お姉ちゃんの女の子の方は,母親同士の会話に入りたいような入れないような風情で,二人の話を聞いている.彼女たちの話では,バスを待っている子供(男の子)がピアノの発表会にこれから行くらしく,夫婦が付き添って発表会を見に行くところらしい.夫婦の正装の理由はそういうことだったのだ.
 母親同士が発表会の話をしているとき,ピアノの男の子が,マンションの彼女に向かって「おばちゃんも一緒に見にきたらええやん」とぽつりとつぶやいた.その言葉に,僕の前に並んでいた別のオバさん,こっちはだいぶ年配,が「子供は面白いこと言うなあ」と笑う.子供の砂場遊びに出てきた彼女も「おばちゃんはこんな格好ではちょっとまずいわな」と笑う.二人の笑い声に誘われたようにバスがやってきて,僕らはバスに乗り込んだ.
 これだけである.ひょっとしたら日常よく見かける風景かも知れない.しかし僕には新鮮だった.小さな弟の砂場遊びについてくるお姉ちゃんとその二人に付き添う若い母親.母親同士の他愛のない談笑と子供のつぶやき.それが起こした小さなさざ波に自然にとけ込んでくる別のオバさん.この一連の流れが僕には心地良い.

 その2:昼ご飯を市内のレストランで食べていた。何気なく入ったレストランだったのだが,そこは大阪のおばちゃんトーク爆発のレストランだった。ガヤガヤうるさいことこの上ない。特に隣の若いおばちゃん同士の話がおもろい。おばちゃんというには若すぎる。まだ20代後半か30代前半だろう。しかも,二人とも結構美人である。二人の話を別に聞く気もなかったのだが、声を落とすということもないので耳に飛び込んでくる。旦那の悪口から知人の噂話まで遠慮なくぶっちゃけトークを聞かせてくれる。例えばこんなことを言う,
(彼女の友達(?)の彼氏を見て)「『僕』と自分のことを言う男の子、初めて見たわ!」
って、あんたの知り合いは「ワシ」とか「ワイ」とかばっかりでっか?
クック!笑いをこらえるのが苦しかった。
 大阪のおばちゃんおよびその予備軍は何故あんなにパワーがあるのか。ホントに,そのパワーを昼ご飯を食べるだけで堪能させてもらった。
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by hiroi22 | 2008-03-23 01:12 | ずっと思う

どうも危ない中国

 私のところに今中国から若い人が来ている.彼はとても真面目で熱心で,私のところにいる同世代の日本人たちのよい刺激になっていると感じている.英語も恥ずかしいことに私より彼の方がうまい .emoticon-0107-sweating.gif
 ところが彼の母国がどうも騒がしい.チベットでの争乱とその弾圧.また,台湾の総統選挙がらみでも波風が立っているようだ.北京オリンピックでは北京の大気汚染が問題視されている.国内の経済格差拡大ももちろん問題だし,おそらく公害も深刻ではないかと想像される.半年ほど前の,高い経済成長を誇り,北京オリンピックの開催を控えて,国際社会で飛ぶ鳥を落とす勢いに見えた状況からは想像もできない現状だ.
 日本でも60〜70年代,高度経済成長の負の遺産とも言うべき深刻な公害に見舞われ,公害列島とさえ言われた.今の日本の空気が比較的きれいで,川の水も相当回復したのは,その頃の試練を何とか克服したことにある.これは企業の努力,法整備などはもちろん,公害撲滅に立ち上がった市民運動の功績が大きい.業者擁護,事なかれ主義のお役所を市民運動が動かし,環境庁が発足するなど,日本中が大きく動いたのだ.振り返ってみれば,ともかくも公害撲滅にはうまくやったといえる.もちろん,それにたずさわった人達の努力には,われわれは感謝しなければならないと思う.
 さて,そういうことに照らしてみると,何だか中国政府の対応は悪い.チベットの争乱にしても,武力で一方的に鎮圧するとは時代錯誤もはなはだしい.平和の祭典たるオリンピックに暗雲が立ちこめるのは必定だろう.

 あれだけの大きな国土と人口を抱える国である.冒頭に挙げた彼のような知性を持った人物も多いだろうし,大きな可能性を持った国だと思う.しかし一方,国土と人口が過度に大きくて,現在のように中央集権的体制でうまくいうのかという疑念はいつも持っている.現在の状況にしても,日本が友人としての信頼関係があれば,何らかのアクションは起こせるとは思うが,たぶん今の関係では無理だろうなあ....
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by hiroi22 | 2008-03-20 00:12 | ずっと思う

稚拙な記事&出る杭はたたく島国根性

 大阪府の橋下新知事が一部の職員を集めて朝礼をおこなった際に,新知事の日頃の言動に抗議した女性職員に注目が集まっている.中にはこういう報道の仕方をするところまである.
橋下知事を「あんた」呼ばわり 大阪府庁に女性職員批判殺到( J-CASTニュース)
 この記事は意図的なものを感じる.毎日新聞の報道などと比べてみれば,それはよく分かる.
<橋下知事>若手職員集めた初朝礼で激論(毎日jp)
しかし,それ以上にJ-CASTの記事はそれ自体が稚拙である.例えば「知事に噛み付くほどの『サービス残業』を強いられているとは考えにくい。」と書いているが,その理由として府人事課の話をあげている.
あほちゃうか?
労働基準法に反する「サービス残業やってますか?」とお役所である府人事課に聞いて「へえ,一杯やってます」と答えるわけないやろぉ〜.それに「考えにくい。」という表現は何だい?
いやしくも記事にしようというならば,それぐらいの実状は自分で調べんかい!
 要するに,はじめから結論ありきの記事なのである.その結論をサポートするものならば,まともな取材もせずに書き散らしているに過ぎない.

 私は今回の橋下知事と,この女性職員とのやり取りに対しては格別の意見もない.府庁内部のことに関しては何も知らないのだから,どちらの肩を持つということもない.そういうことよりも,橋下知事も言っているように,こういう風通しの良い光景は好もしいと思っている.大阪府の現状が非常事態というべきものならば,役職の上下を問わず活発な議論が必要である.上からの目だけではなく,現場の意見も重要だろう.

 それにしても,このJ-CASTニュースのような意識のものがまだまかり通っているとは嘆かわしい.上司に対して歯向った意見を言えばそれだけで反感視しているとしか思えない.アメリカでは年齢・役職に関わらずファーストネームで呼び合い,時には上司に対して横柄とも見える態度をしても格別咎められない.これをすべて肯定しているわけではないが,毎度ながらの「出る杭は打つ」という島国根性丸出しの態度--特に相手が女性だとその傾向は強いように思えるが--これにはうんざりする.
 いったいこの記事を書いた記者にしてもそうだが,何か職場で不満があった時に,自分の上司あるいは社長に一人でそれを抗議する勇気があるのかと問いたい.そういう意味では,この女性職員とそれを受け止めた橋下知事、両者は評価したい.
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by hiroi22 | 2008-03-15 16:48 | ずっと思う

教育談義

 知人(=女性)と話をしていて,教育の話題になった.彼女は「受験勉強」必要派として、その種の強制的な勉学が,日本人の基礎的な知識・教養の習得に役に立っているのではないかという意見だった.彼女のアメリカでの生活体験に照らしてみて,一般にアメリカ人は日本の普通の人よりも読み書きそろばんから始まる基礎的な知識に劣るというのがその例証だというのである.
 確かにその意見には肯んずるところもある.しかし,その弊害に目を向けたとき,トータルとして有効なのかどうかは疑わしいと思っている.以前フィンランドの教育について書き留めた(フィンランドかぁ...(3))ことばをもう一度掲げよう.
 「競争させて順位をつけて、何かいいことがありますか」。フィンランドセンターのヘイッキ・マキパー所長は話す。「下の子はやる気をなくし、上の子は自分が優秀だと思いこむ。どちらの人生にとってもいい影響は与えないでしょう」
 人間の成長には個人差がある.ちょっとした環境が,その人の学習意欲に影響を与えることがある.今のシステムでは,中学高校でいわゆる有名校を外すと,その後の人生でその遅れを回復するのは多大な労力が必要だ.いわんや,いわゆる「落ちこぼれ校」に入ってしまったのならば,将来の展望は大きく制限されるだろう.つまり,生涯のほんの短い時代の成績というものが決定的な役割を果たしてしまうのだ.先に述べたように,「人間の成長には個人差がある」ということにもかかわらずである.
 こういう状況は個人の人生を考えた時によくないだけでなく,社会全体の観点から見ても弊害が大きく,変えるべきシステムだと思う.例えば,小中学校で落ちこぼれであったとしても,実は晩成型で人並みはずれた能力を秘めた人間かも知れないのである.中学高校時代,のんびり過ごして三流校に甘んじていた人間でも,ノーベル賞級の才能があるかも知れないのだ.そういう人がしかるべき教育を受けていたら,社会に大きく貢献できる仕事ができるだろう.ところが,今のシステムでは,彼または彼女がそういうことに恵まれる機会はほとんどあるまい.これはわれわれの社会にとって大きな損失ではないだろうか.
 こういうシステムもさることながら,教育内容というものも問題だ.先日(3月2日),朝日新聞にフィンランドの教育の記事が載っていた.これは2月下旬に大阪でおこなわれた朝日教育セミナーの講演を中心とした記事だが,その中で学習到達度調査(PISA)をおこなったOECDの事務総長による日本の教育に対する痛烈な批判が紹介されていた.OECDのグリア事務総長曰く:
(日本の教育は)多くの国の労働市場からすでに消えつつある種類の仕事に適した人材育成.
 つまり日本の教育は時代遅れの価値観でなされているというのだ.
 その記事では,「日本の子供は,善悪の判断ができ,一つしかない答えはわかる」一方で,「判断がつかない,理解不能な意見を前にすると何も言えなくなる」と述べ,「都合の悪い意見でもそういう考えの人が世の中にいて,両方の意見をつき合わせて考えるべき」という点が弱いのが日本の学びだと言う.確かに短時間で答えを出す訓練ばかりが幅を利かせる受験勉強では,物事を根源的に考えたり,多面的に見るということは軽んじられるだろう.
 ある信頼すべきお手本があり,それに追いつくための教育としては今のような内容が効果的かも知れない.しかし日本がフロントランナーとなり,手本とすべき相手がいない立場になれば,自分で考えなければいけない.もはや答えなど用意されていないからだ.

 こういった状況を変えるには,まず第一に教師の質を向上させなければいけないのは言うまでもない.しかし,安倍内閣の教育再生会議のように教師を縛り,その自由を排除する姿勢ではダメである.これは教育現場においても同様である.また,一クラスあたりの生徒数も減らし,教師の雑用も減らして,きめの細かい教育を可能にする制度が必要だ.もう一つ,教育内容に関して言えば,いろいろな改革に先んじて大学入試の改革を先行すべきだろう.どんなによい教育でも大学入試に役に立つかどうかいう一点で評価されてしまう.こういう風潮は問題であるが,それを変えるよりも大学入試の方式をよりよい教育が認められるものに変えるべきだ.
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by hiroi22 | 2008-03-13 01:25 | じっと思う

「ビルマの竪琴」を見る

 僕はもうあきれるほど文学的な素養というものがない.小説なども読むことはあるが,いわゆる文学作品よりも推理小説や血湧き肉踊る冒険小説(ジャック・ヒギンズなんか好きだなあ)に夢中になるタチである.夏目漱石なども一通り読んだのだけれど,何度読んでもすぐに中身を忘れてしまうのである.我ながら情けない.そういう僕が今日NHK BSで放映されていた映画「ビルマの竪琴」(1956年 市川崑監督)を見た.
 この小説は,少年時代,たぶん小学高学年,に読んだ記憶があり,ストーリーはだいたい覚えていた.水島上等兵のせつない話だ.映画自体も原作通りの雰囲気で展開されていた.しかし,一番最後にちょっと以外な場面に出くわした.日本に帰る船の中で,一人の兵士がビルマに残る水島上等兵について,
「自分はこれまで水島上等兵のことはそんなに気にしていなかった.彼の手紙は彼の家族が読んだらどう思うだろう,と考えた」
といった趣旨のナレーションが挿入されたのだ.しかも,これがこの映画の最後の場面だった.
 竹山道雄の原作の小説は,一言で言うと感動秘話,みたいな印象だった.こんな場面は原作にあったのだろうか.昔読んだ話なので記憶にない.あったかも知れない...例によって忘れた....
emoticon-0106-crying.gif
それはともかく,この映画のこの最後のシーンはどうとらえたらよいのだろうか.一人の兵士の少し引いた視点から物語を総括している,そんな印象を持ってしまった.
 初めに言ったように,僕は文学的な感覚というものは全くない.だから,この印象すら正しいものかどうかもわからない.そして,仮にこの印象が正しいとしても,このシーンの持つ意味が分からないのである.
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by hiroi22 | 2008-03-11 00:14 | ずっと思う

あきれたお話--がんばれ産経(その2)

 世の中にはトンデモ科学というのが存在する.そういう類いをジョークとして評論している本まである.トンデモ科学であろうが何であろうが,公序良俗に反しない限り,別に何を書いて出版しようが自由でお笑いのネタになるだけなので,いっこうに構わないのだが,そういったアホな話が全国紙の論説欄に掲載されるとなると
「ちょっと待ってぇな!」
と言いたくなる.インターネットで暇つぶしをしていて見つけたその仰け反らんばかりのアホな話というのがこれである.
【正論】竹内久美子 京都で共産党が元気なわけ
天下に高名を轟かせている(どんな高名やねん)産経新聞の「正論」(この名前もスゴイ.まさに天上天下唯我独尊の風景.)という論説欄に載ったものらしい.
 この論説,先の京都市長選挙で共産党の推す候補が当選寸前まで得票したことの分析(?)らしい.何でもこの分析とやら,京都市民のルーツを持ち出して論じようというのだから,もうその姿勢をうかがっただけで眉唾もの.すなわち,
しかし私は、京都が渡来人の本場だという観点から説明してみたい。
ときたもんだ.「京都が渡来人の本場」だそうです.アハハ,いったいいつの話やねん!?京都が渡来人の本場なら,むろん奈良は渡来人のメッカやね?さぞかし共産党が元気なことでしょう.
それでもって,
 日本人のルーツは大きく2つある。
 今から1万年くらい前、現在のインドネシアのあたりなどからやってきた縄文人。紀元前3世紀から紀元後7世紀くらいまでの間に、朝鮮半島経由で五月雨式にやってきた渡来人。
とご高説を宣うのだが.....え〜っと,日本人のルーツってそんなに自信満々に語れるほど確かなんですかぁ?知らんかった.それに,お説によれば日本人=縄文人+五月雨式にやってきた渡来人?何じゃ,ほとんど縄文人?初耳じゃ.そして,この両者を
暖かい地方と寒い地方という正反対の気候条件下で適応を遂げた両者
と二分法で括って論じるのである.見てきたようなウソを言うとはこのことである.
 彼女の妄想はさらに広がって
 気候が温暖な地方では女が免疫力の強い男をより欲し、気候が寒冷な地方ではあまり免疫力を問わないのだ(女がいったい、男の免疫力のほどをどうやって見抜くかだが、実はそれこそがルックスや声、スポーツの能力など、男としてカッコいいか、魅力があるか、なのである)。
とまあ,無茶苦茶でございます.ルックスや声がよければ免疫力が高いんだって!スポーツができれば免疫力は高いのかい?そもそも,古代にスポーツはなかったし.
このあともエンジン全開.これでもかと言わんばかりのご高説を披瀝して下さいます(そのお笑いどころは皆様各自でご確認あれ).そして
 京都は秦氏などの渡来人が開拓した土地で、その末裔(まつえい)が今も一大勢力をなしているはずだ。
とはまた.....「はずだ。」とは何?「はずだ。」とは!偉そうにいうんやったら
ちゃんと確かめてから言わんかい!
いかん,いかん,冷静な私としたことが思わず興奮してしまいました.
emoticon-0107-sweating.gif
 それにしても,こんな論説を読まされる産経新聞の読者は可哀想でございます.朝日新聞じゃこんな記事は即没でしょう.産経新聞の編集部はどこを見ているのだ?これが入社時における産経と朝日の偏差値の差だとしたらおじさんはとっても悲しいぞ.

 この記事を書いた竹内久美子というおばさんのことを調べて,またまた驚いてしまった.
竹内 久美子 (たけうち くみこ、 1956年 - )はエッセイスト。愛知県生まれ。1979年(昭和54)京都大学理学部卒。同大学大学院博士課程で日高敏隆教室に在籍し、動物行動学専攻。その後はエッセイスト。
いろんな意味で絶句.少なくとも自然科学という分野にかかわって大学院まで進学した人物がこのような文章を書くとは....居酒屋でいやがられるおっさんの話の方がまだましというものです.日高センセいったいどういうご指導をされてましたぁ?
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by hiroi22 | 2008-03-07 22:54 | じっと思う

PiTaPa買いました

 僕は仕事で,関西には1年に数回必ず訪れる.年によっては10回近くになることもある.そのときに電車・バスなどを利用する際には「スルッと関西」というプリペイド式のカードを使っていた.これは関西のすべての私鉄・地下鉄で使えるので便利なのだが,JR西日本では使えない.Suicaを使わないといけない.この種のプリペイドカードは切符を買う手間が省けるのは便利なのだが,2種類のカードを使っていては,使い分けるのは面倒だし,Suicaは残金のことを気にかけないといけない.そんな折,PiTaPaの広告が目にとまった.
 うかつな話だが,関西在住でない僕がPiTaPaを購入しても十分有用だということに,そのとき初めて気がついた.どうも,Suica=定期券という思い込みがあり,鉄道のICカード=その地域在住専用という決め付けをしてしまっていたようだ.僕にとっては思考の盲点だった.
 それでさっそくPiTaPaのことを調べてみたところ,ちょっとした驚きの連続であった.はじめに腰が引けたのは,PiTaPaは基本はクレジットカードと併用だということだった.今でもクレジットカードは(用もないのに)たくさん持っているが,原則として年会費は無料なものしか持たない.PiTaPaのは年会費を取るだろう・・・と思っていたら,なんと
>PiTaPaは入会金や年会費、デポジット(預り金)が一切不要です。
とある.正確には「1年間に1度もPiTaPaのご利用がない場合は、PiTaPa維持管理料としてカード1枚あたり1,050円(含む消費税等)が必要となります。」ということらしい.
なんだ,使えば結局無料ということである!クレジットカードも同様で,結局タダ同然!
 さらに驚いたのは,上にも書いてあるがデポジットは無料で,
>PiTaPaは「ポストペイサービス」でお客様のご不便をなくしました。
つまりは
チャージの心配から解放された(ただしJR西日本は除く)
ということなのだ.これは便利.しかし,これだけではない,一番感激したのはこれ.
>交通のご利用実績に応じて、さまざまな割引サービスを受けられます。
年数回程度の出張で使うぐらいではたいした割引にはならないだろうが,それでもこういう姿勢が素晴らしい.
あっぱれ関西商人!
Suicaなぞはプリペイド式で,利用者からあらかじめ現金を巻き上げておきながら,運賃割引などは一切ない.PiTaPaはその点,割引があるし,しかもポストペイ(後払い)なのだ.すばらしい.まったく,利用者に前払い&チャージさせてふんぞり返っているSuicaはこの姿勢を見習って欲しいものだ.ということで,速攻で申し込みをして,昨日カードが届いた.大阪人なら憧れの阪急・阪神提携のスタシアカードでございます.
emoticon-0102-bigsmile.gif
 PiTaPa事業のいきさつについては,2年前の記事だが,
PiTaPaはなぜ“ポストペイ方式”なのか――スルッとKANSAIに聞く
が面白い.その記事にある,
 松田氏は磁気式プリペイドカードが判明した、プリペイド方式へのお客様の不満として大きく5つを挙げる。

1.カードの残額が少なくなると使えなくなり、乗越精算機の利用が面倒
2.カードは前払いにも関わらず、割引やおまけがない
3.カードが駅構内の売店や公営施設などの支払いに使えない
4.カードが他の交通機関で利用できない
5.回数券と定期券でどちらが得なのか分かりにくい。利用後、損をすることがある

2年前の記事なので,3と4はSuicaでも改善されているが,1,2,5は今でも不満なところである(オートチャージのように勝手にお金を取られるのは嫌い).
 その記事を読むとPiTaPaは一面苦肉の策の所もあったようだが,大胆とも言える発想でGood Job!
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by hiroi22 | 2008-03-02 11:05 | ずっと思う

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