ボーッと何かを・・・ 日々の考えの備忘録


by hiroi22

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えっちを観ずにシッコを観る

 先日大阪に出張した.大阪という町は面白い.こんなものを発見した.どこにでもある「町を美しく」という張り紙だが,大阪は違う.まず,そのメッセージに反してとても汚い.しかしどういう訳だか大事なものを保管するようにガラスのケースに収まっている.まるで意味が分からない・・・・  003.gif
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 その大阪で泊まったビジネスホテルにはビデオオンデマンドのサービスがあった.つまりサーバーに置いてある番組を自分で選んでテレビで観ることができるのだ.最近ではこんなサービスも珍しくはないが,特筆すべきは,このビジネスホテルではこれがタダ,つまり無料で利用できるということだった.
 選べるジャンルはアダルトをはじめとして映画とかアニメとかが5つほどあったろうか.しかし番組の多さではおじさんの大好きなアダルトものが圧倒的だった.で,お前は喜んでアダルトものを無料で観たのだろうとお考えのお方が多いだろうけど,そんな当たり前の展開であればわざわざblogに書いたりはいたしません.おほほ.

 アダルトものをブラウズしていたのだけれど,何せ数が多いので何が何だかわからない.そうこうしているときに,映画のジャンルでマイケル・ムーア監督の「Sicko」を発見した.アダルトものとは対極の社会派映画である.つまらなければ再びアダルトもの探しに戻ろうとこの映画を見始めたのだが,引き込まれてしまい,とうとう最後まで観てしまった.
 この映画はアメリカの医療制度の問題点を鋭く追及した映画である.アメリカでは日本のような公的な健康保険はない.各人が民間の保険に加入して,何か病気などをした時にはそこから給付を受ける仕組みだ.しかし,保険会社は営利企業である.様々な理由で給付の支払いが拒否される.また,いろいろな理由で保険そのものに加入できないケースがある.病院・医師は保険会社と深く繋がっていて,そのことで患者に多大の不利益が起こる場合が少なくない.映画ではこのようなことを実例を挙げて糾弾し,最後には例の9.11の際に献身的な救助活動を行い,それが原因で病気になったにもかかわらず,アメリカでは満足な医療が受けられない数名の患者をキューバに連れて行って健全な医療制度のもとに十分な治療を受けるというエピソードを披露して終わっている.
 アメリカで病気やケガすれば莫大なお金がかかるということは聞いていた.しかし,それは日本人である自分がアメリカでは外国人だという理由によるものだと思っていた.だから,アメリカという大国のこのような非人間的な医療制度が真の原因であることを知ってショックであった.しかし,私が本当にショックを受けたのはこの映画で紹介されていたイギリスとフランスの医療事情だ.両国とも医療費は基本的に無料である.フランスでは,たとえ貧しい人でも,その健康を国民全体が支え合うという意識が徹底されているという.イギリスでも同様で,人々は病院でお金を払うことは一切なく,病院の会計は貧しい人に病院までの交通費を支給するためにあるという.
 この例がスエーデンやデンマークなどの北欧の高福祉国家の話であったならば,私はそんなに驚かなかったろう.このblogでも何度か書いたように,私はそれらの国は日本が目標とすべき国々だと思っているからである.しかし,フランスやイギリスとなると話は別だ.特にイギリスはサッチャー政権時代民営化の嵐が吹き,いろいろな面で国民の福祉が後退したと思っていた.しかし,そのイギリスでさえ医療費は無料なのだ.それどころか,貧しい人達に交通費の補助が出る!それにひきかえ格差社会の日本はイギリスにすら劣るのか・・・・イギリスにすらひけを取る部分が出ているのか・・・  そんな鬱々たる気分の時に飛び込んできたのがこのニュースである.
<無保険の子>大阪で628人 医療費は全額自己負担
 国民健康保険(国保)の保険料を滞納したため、保険給付を差し止められ、医療費の全額自己負担が必要になった世帯の子ども(中学生以下)が、大阪府内17市町で3月末現在、628人に上ることが民間団体の調べで分かった。大阪市、堺市など6市ではデータがなく、この団体は大阪府全体で子ども約2000人が「無保険」に陥っていると推計する。
 このニュースから受けた私の絶望感を理解していただけるだろうか.イギリスでさえも「貧しい人達の健康もみんなで支える」ということであるのに,貧乏人は医者にもゆけずに見捨てられる社会になろうとしているのだ,日本という国は.多くの勤勉な人々,優秀な人々が働いているはずなのにどうしてこんな国になっているのだ?
 大阪でのとあるパーティーで知人の開業医にアメリカの医療制度のこと,Sickoの映画のことを話したところ,彼は
「小泉・竹中の理想とするのがアメリカの制度なのだ.」
と語気強く語っていた.そう,おそらく根本的な原因はそれに突き当たるのだろう.そして何かといえば「自己責任論」を振りかざす人々もその一端を担っていると断言する.
 ということで,えっちな映画は観ずに終わったが,そんなものよりもずっと物事を考えた時間を過ごせたと自覚したのであった.
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by hiroi22 | 2008-06-28 22:34 | じっと思う

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