ボーッと何かを・・・ 日々の考えの備忘録


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"Z"を観る

 NHK BS2で映画“Z”を観た.もうずっと昔に映画好きの友人に連れられて観て以来2度目だ.イブ・モンタンが主演--といっても活躍するのは前半だけだが--のこの映画はギリシャで起きた政治的陰謀による暗殺事件がモデルとされる.しかし,そういった後知恵的なことは抜きにして,当時の僕の常識にガツンと食らわせる映画だった.
 この映画は軍と警察による謀殺を描いたもので,国家による犯罪を告発している.“警察は頼りないけど正義”,“軍隊は市民を守ってくれる存在”と能天気に信じていたボクには,天地がひっくり返るようなメッセージを発する映画だった.久し振りの観賞はその時の衝撃を鮮やかに思い出させてくれた.一方で,年齢を重ねた今,当然ながら昔とは違った思いも感じた.
 首謀者は上層部の人間だが,実際に手を下すのは学問もなく日々の生活にあえぐ貧しい人間である.1969年製作のこの映画の中で,「この国の正しい姿は国王と宗教だ」という,どこかで聞いた風なメッセージで,名もない人々を極右組織へと煽動する人間が描かれていた.そう,どこの国でもこの手の思想は同じなのだ.ただ,それを信じている人間が「自分たちは特別だ」と思い込んでいるに過ぎない.そして,無知がその煽動を手助けするという構図も変わらない.これは情報伝達手段が豊富になった現代でも同じである.むしろ「嘘も百回言えば本当になる」という傾向が強まった感さえある.どこかの漫画家のアホな言説が通用しているのもしかり.

 政治的なインパクトに目をつぶってもこの映画は面白い.前半のややスローと感じる伏線部は後半の息もつかせない展開につながる.いつかフランスの小説でも読んだことがある展開である.そして最後の鮮やかなどんでん返し.少しのユーモアと聴衆に訴えかける社会正義.真剣な姿勢だがスマートである.

 この映画はもちろん「政治的」な映画である.おそらく「靖国」よりももっと政治的であろう.「言論・表現の自由が保障されている」現代日本では,当然稲田朋美センセイらの“国政調査権”の発動で,この種の「反体制映画」の製作は困難であると予想される.この映画の中で,実際に暗殺を実行した人間--それは貧しい労働者なのだが--彼が
「この国は民主主義で集会の自由が保障されているが,それに反対する自由も保障されているのだ」
と発言していたが,これもどこかで誰かから聞いたような気がするのだが,ハテ気のせいだったろうか・・・

 それにしても,まだ幼かった当時のボクをこのような映画に誘ってくれた友人には感謝しなければならない.そういえば,来月同窓会があるが,彼は来るのかしらん....
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by hiroi22 | 2008-05-20 00:18 | ずっと思う

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