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ボーッと何かを・・・ 日々の考えの備忘録


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教育談義

 知人(=女性)と話をしていて,教育の話題になった.彼女は「受験勉強」必要派として、その種の強制的な勉学が,日本人の基礎的な知識・教養の習得に役に立っているのではないかという意見だった.彼女のアメリカでの生活体験に照らしてみて,一般にアメリカ人は日本の普通の人よりも読み書きそろばんから始まる基礎的な知識に劣るというのがその例証だというのである.
 確かにその意見には肯んずるところもある.しかし,その弊害に目を向けたとき,トータルとして有効なのかどうかは疑わしいと思っている.以前フィンランドの教育について書き留めた(フィンランドかぁ...(3))ことばをもう一度掲げよう.
 「競争させて順位をつけて、何かいいことがありますか」。フィンランドセンターのヘイッキ・マキパー所長は話す。「下の子はやる気をなくし、上の子は自分が優秀だと思いこむ。どちらの人生にとってもいい影響は与えないでしょう」
 人間の成長には個人差がある.ちょっとした環境が,その人の学習意欲に影響を与えることがある.今のシステムでは,中学高校でいわゆる有名校を外すと,その後の人生でその遅れを回復するのは多大な労力が必要だ.いわんや,いわゆる「落ちこぼれ校」に入ってしまったのならば,将来の展望は大きく制限されるだろう.つまり,生涯のほんの短い時代の成績というものが決定的な役割を果たしてしまうのだ.先に述べたように,「人間の成長には個人差がある」ということにもかかわらずである.
 こういう状況は個人の人生を考えた時によくないだけでなく,社会全体の観点から見ても弊害が大きく,変えるべきシステムだと思う.例えば,小中学校で落ちこぼれであったとしても,実は晩成型で人並みはずれた能力を秘めた人間かも知れないのである.中学高校時代,のんびり過ごして三流校に甘んじていた人間でも,ノーベル賞級の才能があるかも知れないのだ.そういう人がしかるべき教育を受けていたら,社会に大きく貢献できる仕事ができるだろう.ところが,今のシステムでは,彼または彼女がそういうことに恵まれる機会はほとんどあるまい.これはわれわれの社会にとって大きな損失ではないだろうか.
 こういうシステムもさることながら,教育内容というものも問題だ.先日(3月2日),朝日新聞にフィンランドの教育の記事が載っていた.これは2月下旬に大阪でおこなわれた朝日教育セミナーの講演を中心とした記事だが,その中で学習到達度調査(PISA)をおこなったOECDの事務総長による日本の教育に対する痛烈な批判が紹介されていた.OECDのグリア事務総長曰く:
(日本の教育は)多くの国の労働市場からすでに消えつつある種類の仕事に適した人材育成.
 つまり日本の教育は時代遅れの価値観でなされているというのだ.
 その記事では,「日本の子供は,善悪の判断ができ,一つしかない答えはわかる」一方で,「判断がつかない,理解不能な意見を前にすると何も言えなくなる」と述べ,「都合の悪い意見でもそういう考えの人が世の中にいて,両方の意見をつき合わせて考えるべき」という点が弱いのが日本の学びだと言う.確かに短時間で答えを出す訓練ばかりが幅を利かせる受験勉強では,物事を根源的に考えたり,多面的に見るということは軽んじられるだろう.
 ある信頼すべきお手本があり,それに追いつくための教育としては今のような内容が効果的かも知れない.しかし日本がフロントランナーとなり,手本とすべき相手がいない立場になれば,自分で考えなければいけない.もはや答えなど用意されていないからだ.

 こういった状況を変えるには,まず第一に教師の質を向上させなければいけないのは言うまでもない.しかし,安倍内閣の教育再生会議のように教師を縛り,その自由を排除する姿勢ではダメである.これは教育現場においても同様である.また,一クラスあたりの生徒数も減らし,教師の雑用も減らして,きめの細かい教育を可能にする制度が必要だ.もう一つ,教育内容に関して言えば,いろいろな改革に先んじて大学入試の改革を先行すべきだろう.どんなによい教育でも大学入試に役に立つかどうかいう一点で評価されてしまう.こういう風潮は問題であるが,それを変えるよりも大学入試の方式をよりよい教育が認められるものに変えるべきだ.
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by hiroi22 | 2008-03-13 01:25 | じっと思う

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