ボーッと何かを・・・ 日々の考えの備忘録


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タイトルには違和感があるが....

 オシムジャパンが強豪カメルーンに2−0で勝利したが,勝ってよかったというよりも「カメルーンは強いわ」という感想が出てくる試合だった.日本のホームでどれだけ真剣だったかは不明だが,スピードという点で日本を上回っていると感じた.さすが,世界ランクが上位のチームだ.それはともかく,オシムの本「日本人よ!」(新潮社)について書く..
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 この本の帯には「自分に『誇り』を持とうじゃないか。」とある.本のタイトルと合わせて考えると,何だかオシムが日本のナショナリズムを持ち上げているのではないかと錯覚させる.内容はそんな代物ではない.そもそも,旧ユーゴスラビアで民族間の対立による悲劇を見てきたオシムが,単純に日本のナショナリズムを賛美するようなことを書くはずがない.実際この本には,日本賛美というより,むしろ我々日本人にとって耳の痛い事柄がここかしこに書かれている.しかし,この本の主題は日本の話ではない.サッカーに対するオシムの考え方が主題だ.したがってこの本のタイトルは不適切と言えよう.
 オシムは数学者になるかサッカー選手になるかで悩んだという.つまり彼自身には数学を志すほどの論理性があるのだ.実際,そのことはこの本の中にも随所に見られる.私の見る所,彼の論理は常にはっきりしている.まずは,ある事柄に関して基本原理をきちんと提示する.そして,その基本原理に基づき具体的な事柄について自分の考えを展開するのだ.したがって,話に説得力があり,結論とその理由が明快なのだ.
 例えば,この本でサッカーマスコミを批判する部分がある.その矛先は,例えば子供じみた質問である.通常,このような質問を批判する多くの人は,「馬鹿げた質問だ」と質問そのものを批判するだろう.オシムは「ジャーナリストはプロフェッショナルであれ」という基本原理を掲げる.そしてその原理に基づき「子供じみた質問」を批判するのである.もう少し言えば,プロフェッショナルとしてサッカーを理解しているのならば子供じみた質問の答えは自分自身で理解しなければならないと説く.したがって,そんな質問を発してはならないのだと.
 これは簡単なように見えるかも知れない.しかし,上に言及したように,私には多くの場合,人々は物事を批判するのに,その現象自体に拘泥して感情的に批判しているように思える.したがって,同じことを批判する人同士でも本当の理由は異なっている場合も多い.
 もう一つ,彼の考え方での特徴として,普遍性・客観性とのが挙げられる.具体的に日本のサッカーに関していえば,世界の中でone of themだということである.何も日本代表だけが特別な存在ではない.「日本代表」というだけでオートマチックに,例えばアジアの中で強豪であり続けるということが保証されていることではない.しかし,これは逆に言えば,他の国の代表についても当てはまるのだ.そして,そのone of themである日本代表が,特別な地位を占めるためには,人まねではなく,自らの独自性を生かす方法を模索しなければならないと主張するのである.

 この本はオシム自身のこのようなものの考え方の基本原則に,彼自身の長年にわたる深い経験に基づくサッカーへの洞察を織り込んで書かれている.だから再度言うが,本のタイトルは全く間違ったものなのである.また,冒頭に挙げた帯のコメントも誤解を招くものだと言わざるを得ない.この本の内容についての間違ったアピールである
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by hiroi22 | 2007-08-23 00:50 | じっと思う

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