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ボーッと何かを・・・ 日々の考えの備忘録


by hiroi22

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「オシムの言葉」を読む

 「オシムの言葉」を読んだ.この本を買ったのはこの前の日曜日に外出した時の帰りだったのだから,3日ほどで読了したことになる.個人的には一気に読んだという印象だ.
 この本が出版されたのは昨年12月.私も今年の3月ぐらいに書店で手に取って眺めたことがある.その時買おうとしたのだが,ちょうど読みかけの本があったので買わずにいた.こういうことを書いたのは,この本がオシム監督の代表監督就任にあわせて書かれた便乗本でないこと,そしてもっと早く読めば良かったという自分の中の後悔を表明したかったからだ.
 いろいろなことを考えさせてくれる良い本だと思う.そして,著者のオシム監督に対する尊敬の念が溢れている本だ.一般に著者がこういう意図を持って書いている場合--醒めた言い方だが--読み手としては「過剰な賛美」を警戒しないといけないと思っている.しかしこの本の場合,丁寧な取材とオシム監督の揺るぎない実績が強い説得力を持って読者に迫ってくる.
 「オシムの言葉」という本のタイトルから,何か格言集のようなものを想像するかも知れないが,実際はサッカー監督としてのイビチャ・オシムの半生を描いたものである.そして彼の哲学を述べるために「オシムの言葉」が引用される.ある時はジョークを交えて,時には反語的に彼はメッセージを放つ.思いつくまま少し挙げてみる.
「今日唯一良かったのは,全員が最悪のプレーをしたという点だ.」(選手の慢心による敗戦後)
「そこまでして.代表のために人を呼べるほど私は教育のある人間ではない.」(ユーゴスラビアの内戦で代表チームが崩壊したことについて)
「そういうものから学べたとするなら,それが必要なものになってしまう.そういう戦争が・・・」(悲惨な戦争を乗り越えてきたことで,何が起こっても動じない精神力などを得たのかという質問に)
「作り上げることは難しい.でも,作り上げることの方がいい人生だと思いませんか?」(サッカーのスタイルについて)

これらの言葉から彼の信念が感じられる.しかし,それだけではない.長期的な視野,論理的な思考,そして他人を思いやる深い人間性、これらがここかしこに顔を見せる.発せられているメッセージよりも,そういった彼の人格に嘆息し,感銘を受けるのだ.
 最初にも言及したが,この本の著者の丁寧な取材には恐れ入る.豊富な人間関係があり,膨大な時間がかかったことが見て取れる.それによって,イビチャ・オシムという人間の哲学と人間性がしっかりと浮かび上がっている.1600円は高くない.

 いつの頃からだったろう,新聞のスポーツ欄でJリーグの結果自体もさることながら,ジェフのオシム監督のコメントを探すようになったのは.とにかくユニークで面白く,しかも思い切ったことを言う人だと思っていた.あるとき,「ジェフ市原の選手たちがこんなに頑張っているのに観客の数が少なすぎる」といった内容のコメントを見たことがある.プロの監督がお客さんを非難しているのだから,一見とんでもない発言である.しかし,これは彼流の選手に対する愛情と誇りの正直な表現だったのだろう.さあて,日本代表の監督としてどんなコメントが聞けるのだろうか.
by hiroi22 | 2006-07-12 23:02 | じっと思う

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