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ボーッと何かを・・・ 日々の考えの備忘録


by hiroi22

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風味絶佳(山田詠美)

あんまりこの種の小説を好んで読まないのですが、あるとき新聞の書評欄で、高橋源一郎氏が絶賛しているのにつられて買ってみました、山田詠美の「風味絶佳」。
風味絶佳(山田詠美)_d0007533_0132131.jpgこの本を手に入れたのはもうだいぶ前なんですが、何せ通勤電車の中で少しづつ読むだけなので、なかなか完読出来ませんでした。夏休みになって時間が出来たので、ようやく読み終えました。
この本は、タイトルである「風味絶佳」という作品を含む六つの短編からなっています。そして中身は恋のお話(う!恥ずかしい)で、男性の職業はすべて肉体労働の仕事です。普通のサラリーマンや学者の類は出てきません。中には少し切ない話も混じっていますが、ほとんどがとても幸せな恋の形が表現されていると思います。だけど、本当は一回読んだだけでは、まだ分かりません。何度でも読まないとまだ味わい尽くせないところがありますし、何度でも読むことを厭わせない小説だと思います。多くの人を心地よい夢気分にさせてくれます。私は、この中では「風味絶佳」と「海の庭」が好きです。
また、読んでいると、時々ハッとする表現に出会います。例えば、
「でも、寂しい時は、手を動かしているのが一番だろ?」
これには脱帽。共感できますが、こんなことは思いつきません。感受性が違います。
ストーリー展開はもちろんのこと、文章立ての基軸も斬新さがあります。「夕餉」という作品の中では、主人公の夕食を作る描写の中に、彼女の気持ちをうまく織り込んでいます。情けないことに、私は料理はからっきしダメなので、夕食を作る細かい描写にはちょっと飽きてしまうところがあるのですが、毎日お料理をしている方なら共感できるのではないでしょうか。とにかく、面白い表現方法だと思います。
それから、この本の装丁も見事です。きっと、文庫本化を敢然と拒否しているのでしょう。

山田詠美という作家はこんなに才能があったのか。恥ずかしながら知りませんでした。
by hiroi22 | 2005-08-15 01:02

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